小学生の不登校の主な理由と生徒数
文部科学省が平成28年10月27日に発表した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(速報値)」によると、平成27年度の全国の小学生654万3104人のうち、病気や経済的な理由を含む長期欠席者は6万3089人、そのうち不登校の児童は2万7581人にのぼります。
学年別に不登校児童数を見ると、小学6年生の不登校児童約9000人に対して、中学1年生は2万4800人に増えています。これは一般に「中1ギャップ」と呼ばれているものです。仮に9000人の児童がそのまま不登校を継続したとしても、新たに約1万5000人の生徒が中学校の環境に馴染めず、ざまざまな理由で学校へ行けなくなっています。小学校のうちは学校に問題なく通えている子でも潜在的な原因を抱え、それが中学入学後、何かのきっかけで不登校という形で顕在化しているケースも多数あると思われます。
この調査結果から、学校や家庭に何らかの不安を感じていたり、学校に楽しさを感じないなど、学年が上がるに連れてその傾向が強くなります。お子様の悩みや不安に気がついたら、早めに話を聞いてあげて、その不安を和らげてあげたり、解決してあげてることが必要だと思います。
小学生の不登校の理由1
平成28年10月27日に文部科学省が発表した小学生の主な不登校の理由を大きく分けると、不登校児童のうち、不安の傾向による不登校が約34%・無気力による不登校が約29%・人間関係の問題による不登校が約14%・あそびや非行による不登校が1.3%になります。この結果から児童が感じる様々な不安から不登校になるケースと学年が上がるにつれて難しくなる学習内容や決まりごと、だんだん複雑になっていく人間関係から無気力になるケースが6割以上占めていることが分かります。
小学生の不登校理由1平成27年度不登校数27581人
理由1
人数
比率
人間関係
3845
13.94%
いじめ
149
0.54%
いじめ以外の友人関係
2502
9.07%
先生との関係等
670
2.43%
学業不振
376
1.36%
進路に係る不安
33
0.12%
部活等の不適応
30
0.11%
学校のきまり等をめぐる問題
89
0.32%
入学転編入進級時の不適応
181
0.66%
家庭に係る問題
1007
3.65%
無気力
7895
28.62%
いじめ
4
0.01%
いじめ以外の友人関係
651
2.36%
先生との関係等
117
0.42%
学業不振
1600
5.80%
進路に係る不安
59
0.21%
部活等の不適応
12
0.04%
学校のきまり等をめぐる問題
198
0.72%
入学転編入進級時の不適応
276
1.00%
家庭に係る問題
5358
19.43%
不安の傾向
9295
33.70%
いじめ
39
0.14%
いじめ以外の友人関係
2096
7.60%
先生との関係等
351
1.27%
学業不振
1374
4.98%
進路に係る不安
158
0.57%
部活等の不適応
30
0.11%
学校のきまり等をめぐる問題
237
0.86%
入学転編入進級時の不適応
777
2.82%
家庭に係る問題
4801
17.41%
あそび非行
345
1.25%
学校に係る問題
179
0.65%
家庭に係る問題
235
0.85%
その他の理由
6201
22.48%
※上記表は不登校の理由が複数ある場合、主な理由を1つ取り上げています。
※上記表の「学校に係る理由」と「家庭に係る理由」の人数は重複している児童を含みます。
平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について文部科学省初等中等教育局児童生徒課
小学生の不登校の理由2
小学生の不登校の理由を「学校に係る理由」と「家庭に係る理由」に分けると、学校に係る理由の不登校は1万3415人・家庭に係る理由の不登校は1万5913人になります。但し、学校と家庭に係る理由の両方が原因の児童もいるので、人数は重複しています。このグラフを見ると、「いじめ以外の友人関係」と「学業不振」が主な理由の児童が多いことが分かります。
小学生の不登校理由2平成27年度不登校数27581人
理由2
人数
比率
学校に係る問題
13415
13415
いじめ
202
0.73%
いじめ以外の友人関係
5653
20.50%
先生との関係等
1242
4.50%
学業不振
3868
14.02%
進路に係る不安
288
1.04%
部活等の不適応
78
0.28%
学校のきまり等をめぐる問題
628
2.28%
入学転編入進級時の不適応
1456
5.28%
家庭に係る問題
15913
15913
※上記表は不登校の理由が複数ある場合、主な理由を1つ取り上げています。
※上記表の「学校に係る理由」と「家庭に係る理由」の人数は重複している児童を含みます。
平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について文部科学省初等中等教育局児童生徒課
全国小学生の不登校児童数
全国の小学生の児童数は毎年減少しているのに対して、不登校の児童数は平成25年度以降、毎年1000人以上増え続けています。小学生の福岡で家庭教師に相談をいただく中で、学校を休みがちになった・月曜日の朝起きられない・腹痛や頭痛など体調不良を訴えるようになっていたなど、後から考えてみると不登校の予兆がになるシグナルをお子様が発している場合が多くあります。早期解決が望ましいですが、原因もさまざまですので、慎重な対応が必要です。
福岡県の小学生の不登校数
平成28年10月に文科省から発表された平成27年度の小学校の長期欠席児童数は、全国で1万9942人にのぼります。福岡県内の長期欠席児童は2868人、病気や経済的な理由を除く不登校の児童は約38%の1101人になります。県内で1000人以上の児童が何らかの理由で学校へ行けない状況におかれています。無理に学校へ行くことを促しても長続き市内ケースも多く、お子様の負担を軽くしてあげながら、学校やご家庭で登校する環境を整えることが重要になります。
全国小学生の学年別不登校数
小学生の不登校児童数を学年別にみてみましょう。グラフをみると進級するにしたがって不登校の児童数が多くなることが分かります。小学1年生から3年生の合計約6700人に対して、小学4年生から6年生の合計は約2万600人になり、3倍以上の児童が学校へ行けなくなっています。5・6年生になると、学校で習う学習内容も高度になり、周りも見え始める時期ですので、低学年中学年で抱えていた学力の問題や人やものごとにものごとに対する不安や不満などが顕在化していると思われます。
また中学1年生の不登校生徒数は2万4000人以上にのぼります。小学校と中学校の環境の違いなどから起こる中1ギャップと呼ばれるものです。中学入学後の環境の変化に馴染めず、さまざまな理由で心身ともに疲れてしまったり、逃避しようとする行動を取るケースが多くみられます。小学生のうちにお子様が抱えている不安な要素を取り除いたり、心の負担を軽くしてあげることが重要だと思います。