高校生の不登校の主な理由と生徒数
文部科学省が平成28年10月27日に発表した「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査(速報値)」によると、平成27年度の全国の高校生332万5301人のうち、病気や経済的な理由を含む長期欠席者は7万9207人、不登校の生徒は4万9591人でした。中学生約348万人のうち不登校生徒数9万8428人に比べ、約50%少なくなっています。平成26年度の福岡県の不登校生徒数は2092人、1000人当りの不登校生徒数は15.9人になります。
不登校の主な理由は、学業不振から無気力になった不登校が約10%、人間関係の問題のうち友人関係が約9%などになります。不登校になった高校生のうち、学業不振が原因の生徒が多く、勉強する意義や目的を持って高校に通うことをお子様に理解してもらうことが大切だと思われます。
高校は義務教育と違い、学科の種類も豊富で学習環境や内容も多肢多様です。なるべくお子様に合った高校選びをすることが不登校や中途退学を未然に防ぐことになります。また入学後にさまざまな理由で不登校になりかけたり、不登校になる場合は、この調査のごとく多数あり、どの学校でも起こり得ます。お子様が強く退学や他校へ編入することを望んだ場合でも、妥協し過ぎることは本人のためにならないケースを福岡で家庭教師しながら目にしてきました。
では、どのように対処していけばいいのでしょうか?本人の努力では解決できない問題を除き、学業不振や無気力、進路の不安などは、お子様本人の努力や心構えで解決出来ます。退学や編入学などを最終手段として残しておき、出来る限り、当該校の進級を目指すことが、結果的にお子様の心の在り方を変え、学校復帰やその後の進路選択に良い影響をもたらすことになると思われます。
高校生の不登校の理由1
高校生の主な不登校の理由は、無気力による不登校が約36%・不安の傾向による不登校が約22%・人間関係の問題による不登校が約14%・あそびや非行による不登校が約13%になります。さらに詳細をみると、学業不振からくる無気力が主な原因の生徒は不登校全体の10%以上にのぼり、次いで人間関係の問題の中で友人関係が原因の不登校が全体の約9%います。中学校と比べると、学業不振から無気力になり、諦めてしまうお子様が多い状況です。
高校生の不登校理由1平成27年度不登校数49,591人
理由1
人数
比率
人間関係
6,967
14.05%
いじめ
53
0.11%
いじめ以外の友人関係
4,470
9.01%
先生との関係等
294
0.59%
学業不振
619
1.25%
進路に係る不安
268
0.54%
部活等の不適応
375
0.76%
学校のきまり等をめぐる問題
176
0.35%
入学転編入進級時の不適応
844
1.70%
家庭に係る問題
510
1.03%
無気力
17,912
36.12%
いじめ
2
0.01%
いじめ以外の友人関係
1,028
2.07%
先生との関係等
97
0.20%
学業不振
5,163
10.41%
進路に係る不安
1,235
2.49%
部活等の不適応
165
0.33%
学校のきまり等をめぐる問題
723
1.46%
入学転編入進級時の不適応
3,394
6.84%
家庭に係る問題
2,754
5.55%
不安の傾向
10,823
21.82%
いじめ
15
0.03%
いじめ以外の友人関係
1,674
3.38%
先生との関係等
119
0.24%
学業不振
2,131
4.30%
進路に係る不安
2,083
4.20%
部活等の不適応
230
0.46%
学校のきまり等をめぐる問題
165
0.33%
入学転編入進級時の不適応
1,751
3.53%
家庭に係る問題
2,029
4.09%
あそび非行
6,214
12.53%
学校に係る問題
4,093
8.25%
家庭に係る問題
962
1.94%
その他の理由
7,675
15.48%
※上記表は不登校の理由が複数ある場合、主な理由を1つ取り上げています。
※上記表の「学校に係る理由」と「家庭に係る理由」の人数は重複している生徒を含みます。
平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について文部科学省初等中等教育局児童生徒課
高校生の不登校の理由2
高校生の不登校の理由を「学校に係る理由」と「家庭に係る理由」に分けると、学校に係る理由が3万7123人・家庭に係る理由の不登校は8435人になります(学校と家庭、両方の重複を含む)。下記のグラフをみると、学業不振で不登校になる生徒が約21%いることが分かり、高校で勉強する意義を見失ってしまったり、高校の授業についていけない、勉強が面倒臭くなってしまうなど、結果欠点になる生徒が多くいると思われます。
入学や転入編入時・進級時の不適応が約16%、進路に係る不安が約15%、不登校になった約30%のお子様がなど、高校ですべき内容や起こりうるものごとについて、自分の想像していたものと大きく違っていたという相談を福岡では多く受けています。また今置かれている高校における状況が、本人の想像と大きく違い、現状や将来に希望を見い出せなくなるお子様を家庭教師で指導するケースも多数あります。
やはり、目的を持って高校生活を送ることが重要です。周りがそうだから、本人がそう言っているからという安易な進路選択は、結果として不登校や高校中退につながり、お子様の将来を大きく変えてしまうこともあります。現在不登校のお子様がいる方や学校へ通っていても成績が欠点ギリギリだったり、高校卒業後の進路は何も考えていないマイペースなお子様がいる方は、これからのことについて少しずつ話す時間を設けてみましょう。将来に希望が持てるようになれば、現状をどうしよう?というお話もしやすくなり、お子様も自我を押え、助言を受け入れやすくなると思います。
高校生の不登校理由2平成27年度不登校数49,591人
理由2
人数
比率
学校に係る問題
37,123
37123
いじめ
74
0.15%
いじめ以外の友人関係
7,911
15.95%
先生との関係等
586
1.18%
学業不振
10,320
20.81%
進路に係る不安
7,281
14.68%
部活等の不適応
878
1.77%
学校のきまり等をめぐる問題
2,257
4.55%
入学転編入進級時の不適応
7,816
15.76%
家庭に係る問題
8,435
8435
※上記表は不登校の理由が複数ある場合、主な理由を1つ取り上げています。
※上記表の「学校に係る理由」と「家庭に係る理由」の人数は重複している児童を含みます。
平成27年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」(速報値)について文部科学省初等中等教育局児童生徒課
全国高校生の不登校と高校中退者数
全国の高校生徒数は緩やかに減少しています。平成27年度の中学校の不登校生徒数は約9万8千人だったのに対し、高校生の不登校生徒数は半分の約5万人にまで減少しています。高校の中途退学者数も平成25年以降、減少傾向にあります。平成27年度の全国高校の中退者数は、昭和57年以降初めて5万人を下回りました。これは中学時に適切な進路選択が行われ、自分に合った学校や学科コースを選択できている結果だと思われます。高校には従来からある普通科や工業商業などの専門学科、近年は自分の進路に合った科目を選択できる単位制課程や総合学科など、以前と比べ高校の種類も豊富になり、選択肢も拡がっています。
但し、高校受験期の学校選択時に適切な進路選択が行われないと、高校の学習内容についていけなかったり、目的を失ってしまい、不登校や中途退学に追い込まれてしまうお子様も多くいます。選択肢が多くなった分、学校選びは慎重に行うことが大切です。また学年制のない単位制課程以外の高校は、中学校と違って欠席日数がある一定を超えたり、高校が設けている一定の学力水準を下回ると、単位を習得できず留年になります。
高校の長期欠席生徒数
平成27年度の高校生の長期欠席生徒数は、全国で7万9207人になります。そのうち病気や経済的な理由を除く不登校の生徒は、67人に1人、2クラスに1人くらいの割合で学校へ行けない状況です。また平成16年度は4000人以上いた経済的な理由で学校へ行けない生徒は、毎年減少し、平成27年度の調査では1661人まで減っています。自我の強くなる時期にあたる高校生は、一旦学業不振や無気力の状態になると、周囲が何を言っても行動が変わらず、本人のペースで不登校になってしまう事例を福岡で多数みてきました。不登校になる前に気が付いてあげられれば一番良いと思いますが、不満を漏らしても、どれが本当でどれが本当ではないのか?言葉だけでは把握しづらい年頃でもあります。もし学校に行けなくなってしまった場合、公立と私立、全日制と定時制や単位制で対応の仕方が異なります。担任の先生や周囲に相談して、出席日数を確保し、進級することを第一に考え、それが難しい状況にある場合は他校への編入など、お子様の状況に合わせた対応をすることが求められます。
高校生の学年別不登校数
全国の高校生のうち、高校1年生で不登校になる人数が多いことが分かります。学年が上がるごとに減少していることから、入学後、環境の変化に馴染めず学校へ行けなくなっているようです。全日制課程は3年制ですが、定時制課程には4年生もあり、全生徒数に対する不登校の生徒数は6.8%と、全日制の不登校率が各学年0.8~1.3%に対し、不登校になる確率が高い状況です。また学年のない単位制高校の不登校率も4.4%になり、全日制課程と比べると不登校になる確率が高くなっています。